精子は約74日で入れ替わります|男性側にできる2か月の体づくり

はじめに|検査結果を見て、どうしたらいいか分からない方へ
こんにちは。大田区・大森の「おおた鍼灸院 大森」院長・太田です。
精液検査の結果を渡されて、数字が基準を下回っていた。医師からは「生活に気をつけて、また様子を見ましょう」と言われた。——けれど、何を、どのくらい続ければいいのかは、あまり教えてもらえない。そういうお話を、当院でもよく伺います。
「気をつけると言っても、いつまで続ければいいの…?」
「薬では改善が見込めない、と言われてしまった…」
「妻ばかりが頑張っている気がして、申し訳ない…」
この記事でお伝えしたいのは、たった一つのことです。精子には、入れ替わるまでの決まった時間がある——それが分かると、いつまで頑張ればいいのかが見えてきます。
なお、男性不妊の原因・検査の種類・生活習慣の詳細については、「不妊症で悩む夫婦の約半分は男性不妊です」でまとめてお話ししています。この記事では「時間」の話に絞ります。
📋 この記事の目次
- はじめに|検査結果を見て、どうしたらいいか分からない方へ
- 精子は、約74〜76日で入れ替わります
- ですから当院では「大体2か月」とお伝えしています
- 卵は120日、精子は74〜76日——ご夫婦で、時間の長さが違います
- 2か月のあいだに、気をつけていただきたいこと
- ① 熱をためない
- ② 睡眠を削らない
- ③ 抱え込まない
- 2か月たったら、もう一度検査を
- こんなときは、まず泌尿器科・専門医に
- 当院に通われた方のお話
- 鍼灸には、何ができるのか
- よくある質問
- Q. なぜ「2か月」なのですか?
- Q. 妻だけ通っています。夫も行ったほうがいいですか?
- Q. 鍼は痛いですか?
- Q. 2か月やって数字が変わりませんでした。意味がなかったのでしょうか?
- さいごに|期限が分かれば、続けられます
精子は、約74〜76日で入れ替わります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
いま射精されている精子は、今日つくられたものではありません。精巣の中で新しい精子がつくられ、成熟して出てくるまでには、およそ74〜76日——2か月半ほどの時間がかかります。
つまり、今日の検査結果に表れているのは、2か月以上前のご自身の状態だということです。逆に言えば、今日から気をつけたことは、今日の精子には届きません。2か月半ほど先の精子に効いてきます。
これは、がっかりする話でしょうか。私はむしろ逆だと思っています。「1週間やっても変わらなかった」で判断する必要がなくなるからです。効いているかどうかは、まだ分からなくて当たり前。そういう性質のものだと分かっていれば、途中でやめずに済みます。
ですから当院では「大体2か月」とお伝えしています
男性の方が当院に来られたとき、私は最初に「大体2か月は見てください」とお伝えしています。
これは適当な目安ではありません。いまお話しした精子が入れ替わる期間に合わせているためです。2か月続けたところで、ちょうど「気をつけ始めてからつくられた精子」が出てくる頃になります。そこで検査を受け直すと、変化があったかどうかを見られます。
逆に、1か月で「効果がなかった」と判断してやめてしまうのが、いちばんもったいない。まだ結果が出る時期に届いていないだけかもしれないからです。
卵は120日、精子は74〜76日——ご夫婦で、時間の長さが違います

これは、あまり知られていないことだと思います。
女性の側では、卵巣の中で眠っていた卵胞が育って採卵の対象になるまでに、およそ120日——4か月ほどかかります。ですから奥さまには「4か月は見てください」とお伝えしています(詳しくは「採卵前にできることはある? 卵が育つ120日の過ごし方と体づくり」でお話ししています)。
一方、精子は74〜76日。ご主人の側のほうが、時間が短いのです。
ここから言えることが2つあります。
- 同時に始めれば、ご主人のほうが先に整います。「もう遅い」ということはありません
- 不妊の原因は、男女でおおよそ半々です。どちらか一方の問題ではなく、ご夫婦の課題です。だからこそ、一緒に取り組んだほうが早い
私はいつもこうお伝えしています。「奥さまだけが頑張る形にしないでください」と。実際、ご夫婦で通われている方は少なくありません。奥さまの負担が減るだけでなく、ご主人が「自分にもできることがある」と思えること自体が、治療を続ける力になります。
2か月のあいだに、気をつけていただきたいこと

細かい生活習慣については「不妊症で悩む夫婦の約半分は男性不妊です」にまとめてありますので、ここでは優先順位の高い順に3つだけ挙げます。全部やろうとせず、上から手をつけてください。
① 熱をためない
そもそも、なぜ熱の話が出てくるのか。精巣(睾丸)が体の外側にぶら下がっているのは、体温より少し低い温度でなければ精子をつくれないからだと考えられています。体の中に収めてしまえば守れるのに、あえて外に出している——それだけ温度に敏感な働きだということです。
ですから、精子をつくる働きは熱に弱くなります。長時間のサウナ、熱すぎる湯船、膝の上でのノートパソコン、締めつけの強い下着、長時間の座りっぱなし——このあたりが積み重なると、条件としては不利です。
やめるべきことは多くありません。下着をゆとりのあるものに変える。1時間に一度は立ち上がる。ノートパソコンは机に置く。この3つは、今日から変えられます。
② 睡眠を削らない
ホルモンの分泌は、眠っているあいだに進みます。仕事が忙しい時期に検査の数字が落ちる、という方は珍しくありません。眠る時間を確保することは、体づくりの中でいちばん効率のよい一手だと私は思っています。
そして、お酒とたばこ。ここは、はっきりお伝えします。減らせるなら、減らしたほうがよい項目です。
③ 抱え込まない
男性の方は、不妊のことを人に話しません。職場でも、友人にも、時には奥さまにも。「自分のせいだ」と思い込んで、ひとりで抱えてしまう。これがいちばん、体にこたえます。
くり返しますが、原因は男女でおおよそ半々です。どちらかが悪いという話ではありません。施術中に、そういう話をされて帰られる方もいらっしゃいます。それで構わないと思っています。
2か月たったら、もう一度検査を

2か月続けたら、検査を受け直してください。これが大切です。変わったかどうかが分からないままでは、続ける気力が持ちません。
ただし、受け取り方に一つ注意があります。精液検査の数字は、毎回ぶれます。体調、前回の射精からの日数、その日のコンディションで変わります。ですから——
- 1回の結果で落ち込まない。たまたま悪い日だったこともあります
- 1回良かっただけで安心もしない。見るのは流れです
- 条件をそろえて比べる。禁欲期間などの条件は、主治医の指示に従ってください
数字が動かなかったとしても、それは「意味がなかった」ということではありません。次にどうするかを主治医と相談する材料が、一つ増えたということです。
2か月の数え方のコツ:始めた日をカレンダーに書いて、その場で2か月後に「検査の予約をする」と書き込んでおくことをおすすめします。人は、期限を決めていないことを続けられません。逆に、終わりが見えていれば2か月は思ったより短いものです。
こんなときは、まず泌尿器科・専門医に
体づくりは治療の代わりにはなりません。次のような場合は、生活の見直しより先に、専門の医療機関でのご相談を優先してください。
- 検査で精子が確認できないと言われた
- 陰嚢の痛み・腫れ・しこりがある
- 精索静脈瘤を指摘されている(手術で改善する場合があります)
- 勃起・射精そのものに困りごとがある
- 気持ちが落ち込んで、日常に支障が出ている
とくに精索静脈瘤は、覚えておいていただきたいものです。精巣のまわりの血管に血液がたまって熱がこもる状態で、男性不妊の背景として比較的よく見つかります。治療によって改善する可能性があるため、生活習慣を頑張る前に「あるかないか」を確認しておく意味があります。これは触診や超音波で調べられるもので、体づくりでどうにかする話ではありません。
男性不妊は、泌尿器科の中でも専門にしている医師がいます。婦人科のクリニックだけで完結させず、一度そちらで診てもらう価値はあります。数値に指摘があるなら、まず原因を調べる。それから体づくり——この順番です。
当院に通われた方のお話
ご主人ご本人が書いてくださったお話を、Googleのクチコミから、そのまま掲載します。
知人の紹介でこちらの鍼灸院に伺いました。最初は不妊症で妻がお世話になっていましたが、検査結果は精子の運動率に問題があり私も受けることにしました。精子は74日で変わると言われ、約二か月が過ぎたころAIHをすると、今までの運動率は26%で鍼灸に通った後は53%まで改善しており無事、妻が妊娠できました。鍼灸は男性不妊にも効果があるのだと実感しました。
先生曰く、女性、男性の問題は半々で、どちらか一方の問題ではなく夫婦の問題だから、一緒に妊活をする方が早く授かるらしいです。
— Googleクチコミより(ご夫婦で来院された男性)
もう一件、「薬では改善が見込めない」と言われた方のお話です。
男性不妊クリニックでの検査の結果がよくなく、クリニックの見解は薬でも改善が見込めない状況でした。そのような時に、こちらの鍼は男性不妊にも対応されているということで伺いました。サプリや日常生活の注意点などもアドバイスいただき、3か月間通ってから再度検査したところ、所見が改善しました。ありがとうございます。
また、慢性的な腰痛と臀部の痛みにも悩まされていますが、痛みに応じて、鍼の打ち方などを調整いただいたりして、日々の痛みが和らいでいます。
— Googleクチコミより(男性不妊で来院された方)
※どちらもGoogleクチコミに投稿いただいた原文をそのまま掲載しています。記載されている検査値は、そのご本人のものです。精液検査の数字はもともと変動が大きく、生活習慣やクリニックでの治療も並行しています。すべての方に同じ変化をお約束するものではありません。
鍼灸には、何ができるのか
正直にお答えします。鍼灸が精子を直接つくるわけではありません。数値がこれだけ上がります、というお約束もできません。
当院がお手伝いできるのは、精子がつくられる土台のほうです。血流、眠り、自律神経のバランス、体の緊張。とくに「分かってはいるけれど、眠れない」「デスクワークで下半身がかたまっている」といった、ご自身の意思だけではどうにもしづらいところに、施術の意味があると考えています。
もうひとつ。ご主人が来られると、話が早くなります。ご夫婦それぞれの状況を踏まえて、通院のペースや、次の検査のタイミングを一緒に組み立てられるからです。ご相談だけでも構いません。
関連して、奥さまの側の体づくりは「採卵前にできることはある? 卵が育つ120日の過ごし方」、移植がうまくいかないときは「着床しないのはなぜ?」、通うクリニックに迷っているときは「不妊治療のクリニックはどう選ぶ?」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. なぜ「2か月」なのですか?
精子が新しく入れ替わるまでに約74〜76日かかるためです。それより短い期間で判断すると、まだ「気をつけ始めてからつくられた精子」が出てきていない可能性があります。当院で「大体2か月は見てください」とお伝えしているのは、この時間に合わせているからです。
Q. 妻だけ通っています。夫も行ったほうがいいですか?
検査で数値に指摘がある場合は、ぜひご一緒に。不妊の原因は男女でおおよそ半々ですし、精子のほうが入れ替わりの期間が短いぶん、あとから始めても間に合いやすい面があります。ご夫婦で通われている方は実際に多くいらっしゃいます。
Q. 鍼は痛いですか?
正直に申し上げると、部位によっては痛みを感じることがあります。とくに筋肉がかたい方は、指圧のほうを痛いとおっしゃいます。ただ、打つたびに確認しながら進めますので、つらいときは遠慮なくおっしゃってください。鍼が初めての方も多く通われています。
Q. 2か月やって数字が変わりませんでした。意味がなかったのでしょうか?
そうとは限りません。精液検査の数字はもともと変動が大きく、1回の結果だけでは判断できないためです。ただし、変わらない状態が続くようであれば、体づくりとは別に、専門医で検査を進める段階かもしれません。そこは主治医とご相談ください。
さいごに|期限が分かれば、続けられます
「気をつけてください」とだけ言われても、人は続けられません。いつまでやればいいのか、いつ結果が見えるのか——それが分かって初めて、走り出せるのだと思います。
精子は、約74〜76日で入れ替わります。だから、まずは2か月。ゴールのない努力ではありません。
そして、ひとりで抱えないこと。不妊はご夫婦の課題で、原因はおおよそ半々です。奥さまだけに背負わせず、かといってご自身だけで抱え込まず、一緒に進んでいただければと思います。当院も、そのお手伝いができればうれしく思います。
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