採卵前にできることはある? 卵が育つ120日の過ごし方と体づくり

はじめに|次の採卵を控えているあなたへ
こんにちは。大田区・大森の「おおた鍼灸院 大森」院長・太田です。
採卵の日程が決まったとき、あるいは前回の採卵の結果を聞いたあと。「次までに、何かできることはないだろうか」——そう思って調べているうちに、このページにたどり着かれたのではないでしょうか。当院にも、採卵を控えた方から同じご相談をよくいただきます。
「採卵しても、凍結できる卵がなかなか育たない…」
「クリニックにお任せするしかないのだろうか…」
「次の採卵まで、ただ待つ時間がもったいない気がする…」
この記事は、そんな「待っている時間を、少しでも意味のある時間にしたい」という方に向けて、採卵までの120日をどう過ごすかを、鍼灸師の視点からお伝えするものです。特別なことは必要ありません。今日から始められる、体をいたわるためのヒントとして読んでいただければ幸いです。
📋 この記事の目次
- はじめに|次の採卵を控えているあなたへ
- 採卵の結果は、体づくりで変わるの?──先に正直なところを
- なぜ「120日前」から?──卵が育つまでの時間
- 採卵までの120日にできる5つのこと
- ① 骨盤まわりの血流を守る
- ② 眠りの深さを取り戻す
- ③ 食事──体をつくる材料をそろえる
- ④ 体を冷やさない
- ⑤ 張りつめた気持ちをゆるめる
- 前回の採卵が、思うような結果ではなかった方へ
- 当院に通われた方のお話
- こんなときは、まず主治医に相談を
- 鍼灸には、何ができるのか
- よくある質問
- Q. 生活を整えれば、採れる卵の数は増えますか?
- Q. 次の採卵まで1か月しかありません。今から始めても意味がありますか?
- Q. 鍼灸はクリニックの治療と併用できますか?
- Q. 運動はどのくらいしたほうがいいですか?
- さいごに|数字だけが、あなたの体ではありません
採卵の結果は、体づくりで変わるの?──先に正直なところを
はじめに、期待させすぎないよう正直にお伝えします。
卵子のもとになる細胞は、生まれたときにはすでに数が決まっていて、あとから増えることはないと考えられています。ですから「生活を整えれば卵子が増える」ということはありませんし、年齢による変化を巻き戻せるわけでもありません。AMHの数値を生活習慣で大きく動かせる、とも言えません。
そのうえで、私がお伝えしたいのはこういうことです。卵子は、卵巣という「畑」の中で数か月かけて育ちます。畑の水はけや土の状態——つまり血液が十分に届いているか、体が休めているか、材料が足りているか——は、育つ側の条件として無関係ではありません。数を増やすことはできなくても、いま育とうとしている卵胞にとって居心地のよい体でいることはできます。
「良い卵子をつくる」というより「体の力を邪魔しない、味方につける」。この記事は、そんなイメージで読み進めてください。そしてもう一つ大切なこととして、クリニックの治療方針が最優先です。ここでお伝えすることは、その治療の邪魔をせず、体の側から支えるための内容だとお考えください。
なぜ「120日前」から?──卵が育つまでの時間
「今月から気をつけて、今月の採卵に間に合うの?」とよく聞かれます。ここが、採卵に向けた体づくりでいちばん知っておいていただきたいところです。
卵巣の中で眠っている小さな卵胞は、ある日突然大きくなるわけではありません。目覚めてから、超音波で見えるようになり、採卵の対象になるまでには、数か月の時間がかかるといわれています。私は施術の場でいつも、「120日前の卵が、いま排卵されているんですよ」とお伝えしています。つまり卵の質に関わる時間は、およそ120日——4か月ほど前までさかのぼるということです。
言い換えると、今日の過ごし方が影響するのは、今月の卵ではなく、120日ほど先に採れる卵ということになります。
これは少しがっかりする話かもしれません。けれど私は、むしろ希望のある話だと思っています。今日始めたことには、ちゃんと届く先があるということだからです。次の採卵が1〜2か月後でも、その次の周期がある。「もう遅い」ということはありません。
ですから当院では、はじめてお越しになった方に「鍼灸の効果を感じていただくには、4か月ほどは続けてほしい」とお伝えしています。ずいぶん長いと思われるかもしれません。ですがこれは適当な目安ではなく、この120日という卵の育つ時間に合わせているためです。だからこそ、通っていただく日程も、採卵や移植の周期に合わせて調整しています。
また、この「120日」という時間の感覚は、焦りを手放すのにも役立ちます。1週間で結果を求めて疲れてしまうより、季節がひとつ変わるくらいの気持ちで続けるほうが、結果的に長く続きます。
採卵までの120日にできる5つのこと
① 骨盤まわりの血流を守る

卵巣に届くのは、血液が運んでくる酸素と栄養、そしてホルモンです。骨盤まわりが冷えて硬くなっていると、そのめぐりが滞りやすくなります。デスクワークで長時間座りっぱなしの方、運動の機会が減っている方は特に注意したいところです。
難しいことをする必要はありません。1時間に一度立ち上がる。1日15〜20分歩く。湯船に10分つかる。この3つだけでも、骨盤まわりの血流はずいぶん変わります。特に入浴は、シャワーで済ませている方ほど効果を感じやすい習慣です。
ちょっとしたコツ:ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、下半身に降りた血液を押し戻すポンプの役割をしています。座ったままかかとを上下させるだけでも、めぐりの助けになります。信号待ちや電車の中でもできます。
腰の重だるさや下半身の冷えが以前から気になっている方は、「マッサージで治らない慢性腰痛・冷えの本当の原因は?」もあわせてお読みください。骨盤の血流という切り口で、もう少し詳しく解説しています。
② 眠りの深さを取り戻す

体の修復や、ホルモンの分泌リズムを整える働きは、眠っている間に進みます。睡眠が浅い日が続くと、体は「いま余裕がない」という状態になり、生命維持に直接関わらない機能は後回しにされがちです。
意識していただきたいのは、時間の長さよりも眠りの深さです。次の3つを目安にしてみてください。
- 夜中に何度も目が覚めていないか
- 朝、起きたときに体が重くないか
- 休みの日に極端に寝だめしていないか
寝る1〜2時間前にスマートフォンの強い光を控える、ぬるめのお風呂で体を温めてから布団に入る。この2つだけでも、眠りの入り口はずいぶん変わります。妊活の情報をベッドの中で検索し続けてしまう——という方は少なくありません。調べる時間は日中に、夜は体を休ませる時間にと決めてしまうのも一つの方法です。
③ 食事──体をつくる材料をそろえる

「これを食べれば良い卵が育つ」という食べ物は、残念ながらありません。けれど、材料が足りていない状態は避けたいところです。体は限りある栄養を優先順位の高いところから使いますから、日々の食事が細っていると、後回しにされる働きが出てきます。
- たんぱく質(肉・魚・卵・大豆)…体をつくる基本の材料。毎食少しずつが理想です
- 鉄分(赤身肉・あさり・ほうれん草)…血液の材料。月経のある方は不足しやすい栄養です
- ビタミンD(青魚・きのこ・日光)…不足している方が多いといわれます
- 葉酸…妊娠前からの摂取がすすめられています。サプリでの補給も選択肢です
気をつけたいのは、極端な食事制限です。妊活のために体重を落とそうとして、かえって栄養が足りなくなってしまう方がいらっしゃいます。減らすことより、そろえることを先に考えてください。なお、サプリメントを使う場合は、クリニックで処方されているものとの重複がないか、必ず主治医にご確認ください。
栄養と体の関係をもう少し東洋医学の視点から知りたい方は、「オートファジーで妊活体質に!」もご覧ください。
④ 体を冷やさない
東洋医学では昔から、下半身の冷えを大切に見てきました。実際、足首やお腹まわりが冷えている方は、骨盤内の血流も滞りやすい傾向があります。
夏場の冷房、冷たい飲み物、薄着——冷えの原因は季節を問いません。足首・お腹・腰の3か所を冷やさないことを意識するだけでも違います。靴下やレッグウォーマー、腹巻きといった昔ながらのものは、やはり理にかなっています。
ただし、温めすぎて汗をかき、その汗で冷えてしまうのは逆効果です。「熱くはないが、冷たくもない」くらいがちょうど良い加減です。
⑤ 張りつめた気持ちをゆるめる

これが、いちばん難しく、いちばん大切なところかもしれません。
採卵に向けた通院、注射、検査結果を待つ時間。そのどれもが、心をすり減らします。「ストレスをなくしましょう」と言われても、治療そのものがストレスなのですから、簡単なことではありません。
大切なのは、ストレスをゼロにすることではなく、高ぶった神経を1日の中で意識してゆるめる時間をつくることです。おすすめは、ゆっくりとした深い呼吸。4秒かけて鼻から吸い、6〜8秒かけて口から細く吐く。これを数回くり返すだけでも、体を休ませる側の神経が働きやすくなります。
ご自宅でできるツボもご紹介しておきます。強く押す必要はありません。気持ちよいと感じる程度に、息を吐きながら5秒ほどを数回で十分です。
- 三陰交(さんいんこう)…内くるぶしの中心から指4本分ほど上、骨のきわ。冷えや女性の体調に関わるツボとして古くから使われてきました
- 太衝(たいしょう)…足の甲、親指と人差し指の骨が合わさる手前のくぼみ。気持ちが張りつめているときに
- 関元(かんげん)…おへそから指4本分ほど下。手のひらで温めるだけでも構いません
※お腹のツボは、採卵前後や治療の周期によっては刺激を控えたほうがよい時期があります。不安なときは自己判断せず、主治医か当院にご相談ください。
前回の採卵が、思うような結果ではなかった方へ
採れた数が少なかった。受精はしたけれど、凍結までたどり着かなかった。——そういう結果を聞いた日のことを、私は施術のベッドの上で何度も伺ってきました。多くの方が、まずご自身を責めます。あのとき無理をしたからではないか、食事が悪かったのではないか、と。
ですが、知っておいていただきたいことがあります。卵の育ち方には、もともと周期ごとのばらつきがあります。同じ方の同じ体でも、今回と次回で結果が違うことは珍しくありません。1回の結果が、そのまま「この先ずっとこうです」という宣告になるわけではないのです。
ですから、過ぎた周期を振り返って原因を探し続けるより、次に採れる卵が、いま育ち始めているところに目を向けていただきたいと思います。前の項でお伝えしたとおり、その卵に届くのは今日からの120日です。責めることには使えない時間ですが、備えることには使える時間です。
そのうえで、採卵を何度か重ねても結果に変化がない場合は、刺激の方法や方針そのものを見直す選択肢もあります。これは体づくりの話ではなく、治療の話です。遠慮なく主治医に相談してください。「こんなことを聞いていいのだろうか」とためらう必要はまったくありません。
当院に通われた方のお話
ここまでお読みいただいた内容と重なるお話を、Googleのクチコミに寄せてくださった方がいらっしゃいます。ご本人が書かれた文章を、そのまま掲載します。
不妊治療を続けていましたがなかなか結果に結びつかず、体外受精へステップアップした頃に伺いました。
当時は採卵をしても採れる卵は数個ほどで、受精卵もうまく成長せず、凍結胚が0個という結果を4回ほど繰り返していました。そんな中、太田先生のアドバイスもあり転院を決意しました。
鍼治療を始めて約3か月後、転院先で初めて行った採卵では18個採卵でき、凍結胚も7個(4AA×3、4AB×3、4BB×1)という驚くほど良い結果となりました。そして初めての移植で無事に着床し、妊娠することができました。
治療中は結果が出ず落ち込むことも多くありましたが、先生はいつも優しく話を聞いてくださり、とても心の支えになっていました。周囲の妊娠・出産の話がつらく、施術中に涙してしまった際に「次は自分の番ですよ。大丈夫です」と励ましていただいたことは今でも忘れられません。
病院選びの相談やサプリ、食事のアドバイスまで親身にサポートしていただき、不妊治療を前向きに続けることができました。
不妊治療で悩んでいる方に、ぜひおすすめしたい鍼灸院です。
— Googleクチコミより(不妊治療・体外受精でご来院の方)
もう一件、つい先日いただいたお声です。
不妊治療でお世話になりました。
41歳で妊活を始め、以前の病院で2回移植を受けましたが、着床には至りませんでした。
転院を考えていた時に、大田区にあるこちらの鍼灸院を知り、通い始めました。
毎回、不妊治療の進み具合に合わせて、丁寧に施術してくださいます。
身体のことだけでなく、治療への不安や悩みにも親身に耳を傾けてくださり、とても心強く感じました。
身体を整える期間として4か月通い、その後、転院先で採卵を受けました。
1回目の採卵で、4AAを含む合計3個の胚を凍結できました。
そして、初めての移植で無事に着床し、現在は心拍確認まで進むことができました。
先生に支えていただきながら、安心して治療を続けられたことに感謝しています。
不妊治療以外にも、肩こりや背中の痛みなど体の不調も細かく診てくださるので、毎回安心して通うことができました(痛い施術もありますよ)
不妊治療中は不安なことが本当に多いですが、いつも前向きな言葉をかけてくださり、精神的にもたくさん支えていただきました。
夫婦共々、心から感謝しております。
本当にありがとうございました。
— Googleクチコミより(41歳・不妊治療でご来院の方)
※どちらもGoogleクチコミに投稿いただいた原文をそのまま掲載しています。おふたりとも転院をされており、結果は治療方針やクリニックの選択にも大きく左右されます。また、おひとりは凍結胚7個、もうおひとりは3個と、同じように過ごされても結果には幅があります。症状や体質によって経過は異なり、すべての方に同じ変化をお約束するものではありません。
おふたりが書かれている「鍼治療を始めて約3か月後」「身体を整える期間として4か月通い」という時間は、さきほどお伝えした120日という卵の育つ期間とちょうど重なります。もちろん、どちらも転院という大きな判断があってのことですし、同じようにいくとお約束できるものではありません。ただ、「体を整える時間をとってから採卵に臨む」という選択が実際にあり得るということは、お伝えしておきたいと思いました。
こんなときは、まず主治医に相談を
体づくりは治療の代わりにはなりません。次のような場合は、生活の見直しより先に、クリニックでのご相談を優先してください。
- 強い下腹部の痛み、急な腹部の張り、吐き気がある(採卵後は特に注意が必要な時期があります)
- 月経が来ない、周期が大きく乱れている
- これまでと違う出血がある
- 採卵を何度か重ねても結果が変わらず、方針そのものに迷いがある
最後の項目については、セカンドオピニオンも含めて、遠慮なく主治医に気持ちを伝えてよいと思います。納得して進めることは、それ自体が体の負担を減らします。
鍼灸には、何ができるのか
ここまでお読みいただいて、「では鍼灸は何をしてくれるのか」と思われたかもしれません。正直にお答えすると、鍼灸が卵子を直接つくったり、増やしたりすることはできません。
当院がお手伝いできるのは、ここまでにお伝えした5つ——血流・睡眠・冷え・自律神経のバランス——を、ご自身の努力だけに任せず、外から後押しすることです。特に「わかっているけれど、眠れない」「冷えが取れない」「気持ちが張りつめたまま戻らない」といった、自分ではどうにもしづらいところにこそ、施術の意味があると考えています。
体質という視点から妊活を見た考え方は、「東洋医学から見た不妊症 〜赤ちゃんを授かりやすい体づくり〜」で詳しくお話ししています。また、採卵のあと移植の時期に入られる方は、「胚移植後にしてはいけないこと」もあわせてご覧ください。
また、良い胚を戻したのに着床しない・化学流産が続くという方は「着床しないのはなぜ? 良好胚でも着床しない原因不明不妊と、体の側からできること」、いま通っているクリニックで続けてよいか迷っている方は「不妊治療のクリニックはどう選ぶ? 実績の見方と、転院を考えるタイミング」をご覧ください。
また、ご主人の側にも同じように「時間」があります。精子は約74〜76日で入れ替わるため、男性側は2か月が目安になります。「精子は約74日で入れ替わります|男性側にできる2か月の体づくり」でお話ししていますので、ご夫婦でお読みいただければと思います。
よくある質問
Q. 生活を整えれば、採れる卵の数は増えますか?
卵子のもとになる細胞は生まれたときに数が決まっていると考えられており、生活習慣で増やすことはできません。体づくりの目的は数を増やすことではなく、いま育とうとしている卵胞にとって条件の良い体でいることにあります。
Q. 次の採卵まで1か月しかありません。今から始めても意味がありますか?
卵が育つには120日ほどかかるといわれるため、今月の採卵に大きく反映されるとは言い切れません。ただし、その次の周期には届きます。また、睡眠や気持ちの落ち着きは体調としてすぐ返ってくるものですから、始めて損になることはありません。
Q. 鍼灸はクリニックの治療と併用できますか?
併用されている方が多くいらっしゃいます。ただし、投薬や採卵・移植のスケジュールによって、施術を控えたほうがよい時期やツボがあります。通院状況とスケジュールをお聞かせいただければ、それに合わせて調整いたしますので、ご予約の際にお伝えください。
Q. 運動はどのくらいしたほうがいいですか?
息が弾む程度のウォーキングを1日15〜20分、というくらいで十分です。激しい運動や急に始める筋トレは、かえって体の負担になることがあります。「続けられる強さ」を基準に選んでください。採卵直前や採卵後は運動の可否について主治医の指示に従ってください。
さいごに|数字だけが、あなたの体ではありません
採卵の日が近づくと、どうしても数字を見る毎日になります。採れた数、育った数、凍結できた数。その一つひとつに一喜一憂して、心が休まらない——そういうお話を、施術のベッドの上で何度も伺ってきました。
けれど、その数字の向こう側には、毎日働いて、眠って、食べて、頑張り続けているご自身の体があります。今日ご紹介したことは、どれも小さなことばかりです。すべてを完璧にやろうとせず、できそうなものから一つだけ選んで、120日続けてみてください。それだけでも、体は必ず応えてくれます。
そして、一人で抱え込まないこと。クリニックの治療、日々の過ごし方、そして体質から支える鍼灸——味方は一つではありません。次の採卵に向かうあなたの体と心が、少しでも軽くなるよう、当院もお手伝いできればと思っています。
🏥 おおた鍼灸院 大森|アクセス・営業時間
🚶 アクセス:京浜東北線大森駅・徒歩4分
〒143-0023 東京都大田区山王2丁目7−27 旭ビル3 1階
