おおた鍼灸院 大森

着床しないのはなぜ? 良好胚でも着床しない原因不明不妊と、体の側からできること

着床しないのはなぜ? 良好胚でも着床しない原因不明不妊と、体の側からできること

雨上がりの窓辺に置かれた膝掛けと温かい湯のみ

はじめに|良い胚を戻したのに、着床しなかった方へ

こんにちは。大田区・大森の「おおた鍼灸院 大森」院長・太田です。

グレードの良い胚を戻したのに、判定は陰性だった。検査はひととおり受けたけれど、どこにも問題は見つからなかった。——このページにたどり着かれた方の多くが、そういう時間を過ごしてこられたのではないでしょうか。

「良好胚だったのに、なぜ着床しないの…?」

「検査で問題ないと言われるほど、かえって不安になる…」

「着床しても、また化学流産になるのが怖い…」

この記事は、そんな「打つ手が見えない」時間にいる方に向けて、体の側から見えることと、主治医に聞いておいていただきたいことを、鍼灸師の視点からお伝えするものです。答えを差し出せるわけではありません。ただ、次の一手を考える材料にはなると思います。

📋 この記事の目次

「原因不明」は、「原因がない」ということではありません

まず、言葉の整理をさせてください。

「原因不明不妊」と言われると、多くの方が「自分の体には理由がないのに、なぜ授からないのか」と受け取ります。けれど正確には、「いま行われている検査では見つからなかった」という意味です。原因がないのではなく、今の検査の網に、かかっていないということです。

実際、不妊の原因を調べる検査は、ホルモンの数値、卵管の通り、精子の状態、子宮の形——といった「測れるもの」を見ていきます。とても大切な検査です。ですが、体には数値に出にくい要素もあります。骨盤内にどれだけ血液が届いているか。自律神経が緊張したままになっていないか。眠れているか。こうしたことは、採血や超音波の数字には、そのままの形では現れません。

ですから私は、「原因不明」と言われた方に、こうお伝えしています。「検査では見つからなかった、というところまで分かったんです。次は測れないほうを見ていきましょう」と。

化学流産を繰り返しているとき

夕方の光が差す部屋のソファに膝掛けと文庫本が置かれている静かな情景

着床はした。数値も出た。けれど続かなかった。——化学流産は、妊娠として数えられないことも多く、まわりに話しにくく、ご本人の中だけで抱えられがちです。「喜んでしまった自分が恥ずかしい」と口にされる方もいらっしゃいます。

お伝えしたいことが2つあります。

ひとつは、着床したという事実は、消えません。着床にすらたどり着けなかった時期があったなら、そこは確かに進んでいます。続かなかった理由の多くは、胚の側の偶然によるものだと考えられています。あなたの過ごし方が悪かったから、ではありません。移植後に無理をしたか、何を食べたか、そういうことで決まるものではないのです。

もうひとつは、回数が重なってきたときは、検査の段階を進める相談をしてよいということです。着床しない・続かないことが繰り返される場合、通常の不妊検査とは別の検査を検討する選択肢があります。これは体づくりの話ではなく、治療の話です。次の章でお伝えする「聞いておきたいこと」に、ぜひ含めてください。

私は施術中に、その周期に何があったかを必ずお聞きします。数を数えるためではありません。ご自身のなかだけで抱えている出来事に、聞き手がひとりいる——それだけで、次に進む力が戻ってくる方が、実際にいらっしゃるからです。

主治医に聞いておいていただきたいこと

次の診察で聞くことを書き出したノートとペンとマグカップ

当院に来られる方から、いちばん多く聞くお困りごとが、実はこれです。「クリニックで質問ができない」。担当の先生が毎回変わる。待合が混んでいて時間がない。聞いてよいことなのか分からない。——そうして、聞けないまま次の周期に入ってしまう。

ですから私は、施術のあいだに「次の診察でこれを聞いてみてください」とお伝えすることがよくあります。聞くべきことが決まっていると、短い診察時間でも話が進みます。着床がうまくいかないときに、確認しておいて損のないことを挙げておきます。

  • 今の方針を、あと何回続ける見通しなのか(同じことを繰り返すのか、どこかで変えるのか)
  • 移植の方法を変える選択肢はあるか(ホルモンの補充や移植の時期の考え方など)
  • 追加で受けられる検査はあるか、いま受ける段階なのか
  • 次の周期は、体を休ませたほうがよい時期にあたるか
  • 鍼灸に通っていることを伝えたうえで、控えたほうがよい時期はあるか

どれも、聞いて失礼になる質問ではありません。納得して進めることは、それ自体が体の負担を軽くします。「こんなことを聞いていいのだろうか」とためらう必要は、まったくありません。

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体の側から見ていること

障子越しの光が差す清潔な和風の施術室

では、測れないほうを見るというのは、具体的に何を見ているのか。当院で必ず確かめるのは、次の3つです。

① 骨盤の中に、血液が届いているか

子宮や卵巣に酸素・栄養・ホルモンを運ぶのは血液です。下半身が冷えていて、腰やお尻がかたく張っている方は、骨盤内のめぐりも滞りやすくなります。触れば、たいてい分かります。デスクワークが長い方、運動の機会が減っている方は特にそうです。

この点については、「マッサージで治らない慢性腰痛・冷えの本当の原因は?」で骨盤の血流という切り口から詳しく解説しています。

② 自律神経が、緊張したままになっていないか

治療が長くなるほど、体は気を張った状態が続きます。交感神経が働きっぱなしになると血管は縮み、眠りは浅くなります。「よく眠れていますか」と伺うと、多くの方が首を振られます。眠れていない体は、いま余裕がないという状態です。そういうときに体は、生命維持に直接関わらない働きを後回しにします。

③ 体全体のバランスが、傾いていないか

妊娠の成立には、免疫のはたらきも関わっていると考えられています。この分野の研究については、「制御性T細胞(Treg)と妊娠の関係」でご紹介しています。ただし、免疫の状態を鍼灸で狙って変えられる、という単純な話ではありません。

私がお伝えしたいのは、もっと手前のことです。血流・睡眠・自律神経が整っている体は、免疫のバランスも崩れにくい。それは体全体の土台であって、狙い撃ちできる標的ではない、ということです。

休んでよい、という選択肢

木漏れ日の公園のベンチに畳んだカーディガンと水筒が置かれている

最後にひとつ、お伝えしておきたいことがあります。

治療を休むという選択は、あきらめることではありません。周期を続けることだけが前進ではなく、体力と気力が戻るまで間をとることも、立派な判断です。実際、しばらく間をおいてから再開された方が、その周期でうまくいく——ということもあります。

もちろん、年齢による時間の制約は現実にあります。だから「いくらでも休んでよい」とは言えません。ですが、「休みたい」と口にすることを、自分に禁じないでいただきたいのです。その相談も、主治医にしてよいことです。

こんなときは、まず主治医に

  • 着床しない、あるいは続かないことが繰り返されている(追加の検査を検討する段階かもしれません)
  • これまでと違う出血や、強い下腹部の痛みがある
  • 月経の周期が大きく乱れている
  • 眠れない、食べられない、涙が止まらないなど、心の負担が日常に出ている(我慢する場面ではありません)

当院に通われた方のお話

この記事の内容と重なるお話を、Googleのクチコミに寄せてくださった方がいらっしゃいます。ご本人が書かれた文章を、そのまま掲載します。

不妊治療クリニックに通っていましたがなかなか妊娠できず、鍼の経験はこれまでなかったですが、体外受精にステップアップするタイミングで少しでも妊娠の可能性を上げるために大田区で不妊鍼灸を受けられるところを探していたら、家に近いこちらの鍼灸院をみつけました。採卵前に通い始め、4回胚盤胞移植しましたが、1回目と2回目は着床するものの化学流産となってしまいました。3回目は着床せず、4回目は成功し、妊娠できました。

正直これまでは着床にすらたどり着けなかったので、移植4回中3回も着床してくれたのは驚きましたし、化学流産となってしまっても自信につながりました。鍼灸の効果もあったと思いますし、それと同じくらいに私にとって、こちらに通って良かったと思えたのが、先生にはメンタル的にもたくさんサポートしていただいた点です。

不妊治療は終わりが見えず、孤独で辛くやめたいと思うことが多かったです。不妊治療クリニックでは毎回医師が違ったうえにあまり質問をしたり悩みを打ち明けられる雰囲気ではなかったのですが、こちらの鍼灸院の先生は必ず体調や気持ちについて確認してくださり、不安に思っていることを話しやすかったです。また、先生は不妊治療の知識も豊富なので、たくさんアドバイスも頂きましたし、クリニックに確認すべき点や医師に聞いたほうが良い質問なども教えてもらい、本当に助かりました。

妊娠には体だけではなくメンタル面も重要だと思いますが、こちらの先生は心のケアもしっかりしてくださる、本当に頼れる味方のような存在でした。2人目の妊娠のときも、またお世話になりたいと思います。

— Googleクチコミより(体外受精・胚移植でご来院の方)

もう一件、胚のグレードに悩まれていた方のお声です。

不妊治療でお世話になっています。
夫原因で顕微授精に進んだものの、卵子・受精卵の成長も芳しくなく、4度の採卵でできた胚はグレードの低いものが数個程度。移植も成果が出ず、藁にも縋る思いで訪ねました。
正直半信半疑でしたが、通い始めて3ヶ月後の移植で、あまり良いとは言えないグレードの胚で妊娠できました!
不安でいっぱいの中でしたが、先生の知識と「絶対大丈夫ですよ!」という自信に救われた部分も大きかったです。
安定期まではまだあるため、油断せずお世話になりたいと思っています。今後とも宜しくお願いします。

— Googleクチコミより(顕微授精でご来院の方)

※どちらもGoogleクチコミに投稿いただいた原文をそのまま掲載しています。おふたりともクリニックでの治療を並行して受けられており、結果は治療方針にも大きく左右されます。また、4回目の移植で成立した方、3か月後の移植で成立した方と、経過はそれぞれ異なります。症状や体質によって経過は異なり、すべての方に同じ変化をお約束するものではありません。

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鍼灸には、何ができるのか

正直にお答えします。鍼灸が胚を着床させるわけではありません。着床率を何%上げます、というお約束もできません。

当院がお手伝いできるのは、ここまでにお伝えした3つ——血流・睡眠・自律神経——を、ご自身の努力だけに任せず、外から後押しすることです。加えて、次の診察で何を聞くかを一緒に整理すること、そして誰にも言えない出来事の聞き手になること。これも施術と同じくらい、当院の役割だと思っています。

なお、移植や採卵の周期によっては、施術を控えたほうがよい時期やツボがあります。通院のスケジュールをお聞かせいただければ、それに合わせて日程と内容を調整します。採卵に向けた体づくりについては「採卵前にできることはある? 卵が育つ120日の過ごし方」、移植後の過ごし方については「胚移植後にしてはいけないこと」もあわせてご覧ください。いま通っているクリニックで続けてよいか迷っている方は「不妊治療のクリニックはどう選ぶ? 実績の見方と、転院を考えるタイミング」もお読みください。また、男性側の検査に指摘があるときは「精子は約74日で入れ替わります|男性側にできる2か月の体づくり」もあわせてどうぞ。

よくある質問

Q. 良好胚なのに着床しないのは、私の体に問題があるからですか?

胚のグレードは見た目の評価であり、それだけで結果が決まるものではありません。着床しなかった理由の多くは胚の側の偶然によるものだと考えられています。ご自身を責める材料にはなりません。ただし回数が重なる場合は、追加の検査について主治医に相談する段階かもしれません。

Q. 鍼灸で着床率は上がりますか?

「上がります」とはお約束できません。当院がしているのは、血流・睡眠・自律神経という土台を整えることです。着床そのものを操作するものではない、とご理解ください。

Q. いつから通えばよいですか。移植の直前でも間に合いますか?

当院では「効果を感じていただくには4か月ほど続けてほしい」とお伝えしています。卵が育つ時間に合わせているためです。ただし移植前の駆け込みでも、体を緩めて眠りを戻す助けにはなります。スケジュールを教えていただければ、そのときにできることをご提案します。

Q. 化学流産のあと、すぐ次に進んでよいのでしょうか?

体の回復の状況によりますので、次の周期に進む時期は必ず主治医の判断に従ってください。そのうえで、気持ちの側が追いついていないと感じるなら、間をとることも選択肢です。急がなければならない、と自分に言い聞かせなくて大丈夫です。

さいごに|打つ手がない、ということはありません

「原因不明」と言われた時間は、いちばん苦しい時間だと思います。悪いところが見つかれば、そこを治せばいい。けれど見つからないと、どこに力を入れればいいのか分からなくなる。

ですが、測れないものが残っているということは、まだ手をつけていない場所があるということでもあります。血流を守る。眠りを取り戻す。張りつめた神経をゆるめる。次の診察で聞くことを決めておく。どれも小さなことですが、どれも今日から始められます。

そして、一人で抱え込まないこと。クリニックの治療、日々の過ごし方、そして体質から支える鍼灸——味方は一つではありません。あなたの体と心が少しでも軽くなるよう、当院もお手伝いできればと思っています。


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🏥 おおた鍼灸院 大森|アクセス・営業時間

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🚫 定休日
水曜日・木曜日

おおた鍼灸院 院長 太田 正義

この記事を書いた人

太田 正義(おおた まさよし)

おおた鍼灸院 大森 院長

  • ✔ はり師(国家資格)厚労第160469号
  • ✔ きゅう師(国家資格)厚労第160085号
  • ✔ 臨床経験20年以上

東京・大田区大森で「おおた鍼灸院」を開業。突発性難聴、めまい、自律神経失調症、慢性腰痛など、病院の治療だけでは改善しにくい症状を専門に、のべ5万人以上の施術実績があります。「痛みを取る」よりも「痛みが生まれない体をつくる」をモットーに、東洋医学と現代医学の両面から体質改善をサポートしています。

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